実際の施工現場の写真。韓国・慶尚北道の公共産後調理院の廊下、準不燃仕上げ。施工: YEILDECO、写真: D-Guard施工ギャラリー
韓国にも「準不燃」という等級があります。ハングルで준불연と書くこの等級は国際規格の試験法に基づくもので、日本の準不燃と同じ試験法で、判定値まで同じ数字で判定されます。韓国製の内装材を検討する設計者・施工店の方に向けて、その根拠と、同じではない部分を整理します。
韓国の準不燃の判定基準:ISO 5660-1
韓国の準不燃材料は、コーンカロリーメーター試験(KS F ISO 5660-1)で判定します。判定値は次のとおりです。
- 加熱10分間の総発熱量が8MJ/㎡以下
- 最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/㎡を超えないこと
- 10分間の加熱後、防火上有害な亀裂・穴・溶融がないこと
KS F ISO 5660-1のうち、後半のISO 5660-1が国際規格です。韓国産業規格(KS)がこの国際規格をそのまま採用しているという意味です。
日本の準不燃:同じ規格、同じ判定値
日本の防火材料は不燃(加熱20分)・準不燃(10分)・難燃(5分)の3区分で、大臣認定番号の記号はそれぞれNM・QM・RMです。記号と番号の読み方は大臣認定番号の読み方にまとめています。
準不燃の判定もISO 5660-1のコーンカロリーメーター試験で行われ、判定値は韓国と同じです。加熱10分間の総発熱量8MJ/㎡以下という値も、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/㎡を超えないという値も一致します(出典:日本壁装協会 内装制限・CERI コーンカロリーメーター試験)。
日本では建築基準法の内装制限がこの区分を求めており、特殊建築物・火気使用室・地階・高層部などで、壁・天井の仕上げに準不燃以上が求められる部位があります(詳しくは内装制限と準不燃)。
他の国は試験法が異なります。
- 中国・EU:SBI(単一燃焼体試験)方式
- 米国:ASTM E84(火炎伝播指数)
そのため他国の等級とは「相当・対応」の関係でしか比べられず、判定値まで1対1では一致しません。日本と韓国はどちらもISO 5660-1を用いるため、判定値まで同じという例外的な組み合わせです。
各国の比較は規格比較にまとめています。
輸出・B2Bでの意味
日本と韓国が同じ国際規格・同じ判定値で準不燃を判定しているという事実には、二つの意味があります。
- 韓国の準不燃は独自基準ではなく、国際規格に基づく等級:日本と同じく、国際的に通用する防火性能の等級体系の一部です。
- 輸出・海外協業での共通の物差し:試験基準が同じなので、性能の説明と比較がしやすくなります。韓国のKFI試験成績書に並ぶ総発熱量や最大発熱速度も、日本の準不燃と同じ物差しで読めます。当社取扱品の実測値は韓国KFI認証の試験数値で公開しています。
ただし、KFI認証は日本の大臣認定ではありません。日本国内で準不燃材料として使う場合は、大臣認定(QMなど)の別途取得・協議が前提です。
基準は同じでも、書類の単位と素材が違います
日本で流通する代表的な化粧フィルム(粘着フィルム)には、不燃・準不燃の大臣認定を受けた製品が多くあります。ただ、その多くはPVC(塩化ビニル)素材です。
日本のフィルムの大臣認定は、「フィルム+指定の不燃下地(+指定接着剤)」の組み合わせ単位で成立します(メーカーの施工マニュアルに明記)。韓国でもコーンカロリーメーター試験を下地に貼った状態で行う方式は同じですが、当社が扱う製品のKFI準不燃認証書は、組み合わせではなく材料(フィルム)そのものに対して発行されている点が異なります。
試験基準(ISO 5660-1)は日韓で同じでも、書類が与えられる単位(日本の大臣認定=フィルムと下地の組み合わせ/当社取扱品のKFI認証=材料そのもの)が違い、素材でも分かれます。 海外のフィルムの多くがPVC系であるのに対し、当社が扱う準不燃フィルムはPVCフリーのPP・PET素材で準不燃を確保しており、塩素由来の有毒ガスやフタル酸系可塑剤の問題を原料の段階で避けています。現行の認証ライン(ネオテック SAVE・アートエコ リニューアル)は、塩素を含まない層構成の内部にアルミニウムの火災安全層を組み込んだ構造で、その中身は火災安全層の解説にまとめています。
日韓の準不燃、同じ点と違う点
- 韓国の準不燃は、国際規格ISO 5660-1のコーンカロリーメーター試験で判定します(10分・8MJ/㎡・200kW/㎡)。
- 日本の準不燃も同じ規格・同じ判定値で判定します。
- 中国・EU・米国は試験法が異なり、「相当」の対応づけにとどまります。比較した主要市場のうち、判定値まで同じなのは日本と韓国です。
- 基準は同じでも、書類の単位と素材は異なります。海外のフィルムの多くがPVC系、当社取扱品はPVCフリーのPP・PET素材です。
製品と認証資料は製品ページと認証資料でご確認いただけます。日本のプロジェクトでの適用や必要書類のご相談はお問い合わせからどうぞ。
各国の基準・数値は、引用した規格・機関の資料に基づいています。実際の輸出や現地制度での適用は、対象国の最新の規定と公的な試験機関での確認が前提になります。
